War in Europe Map Addendum:Draft Production Maps
War in Europe 2nd Ed.の地図に対する修整試案

SPI "War in Europe" (WEU) 5th Edition　のトップページに戻る

始めに

　SPI/HJ"War in Europe 2nd Ed."をプレイすると気づくのは、｢充分検討して練り上げて作った」と言うよりも、「ともかく作った」という印象だ。特に「地図」にこそ、それが現れている。
　シナリオをプレイする上では、シナリオとして成立し、機能すれば良いので、そこに至るまでの「省略されてる途中経過」はさほど気にならないこともあろう。しかし、キャンペーンとしてプレイしようとすると、「省略されていた途中経過」が「問題点となって現れる」ことがある。例えば、ソ連=フィンランド間の「冬戦争(第一次ソ=フィン戦争)」、フランス侵攻前の「ノルウェー侵攻作戦」、ソ連侵攻前の「バルカン作戦」、空挺部隊を中心にした「クレタ島侵攻作戦」といったものは、シナリオ設定がなく、「充分検討された形跡」がない。これらが充分検討されていれば、また違ったアプローチも見えていたことだろう。
　ここでは、必要と思われるルールの修整よりも先に、「SPI/HJ"War in Europe 2nd Ed."の地図に対する修整試案」について論じてみたい。「DG社版のRevised Edition(第3版)」で地図が新たなものに変更されているが、その変更前のSPI/HJ"War in Europe 2nd Ed."の地図に関して論じていることをお断りしておく。

War in Europe 2nd Ed.の地図に対する修整試案 （逐次追加）

  1. 地図連結時に地形が異なるヘクス （第2版エラッタ）
  2. Road(道路)
  3. Beach(砂浜：上陸陸可能海岸)
  4. RailRoad(鉄道)
  5. Major River(大河川)
  6. 「マジノ要塞線」に関する修整 (『タクテクス』26号所収「よみがえれ大巨人」より)
  7. 「分割線」の追加
  8. デンマークの鉄道と橋
  9. ノルウェーの飛行場と小規模港湾
  10. 凍結港
  11. 油送パイプライン
  12. 「地図K」の追加
  13. 新たな「地形効果表(TEC)」
※お断り：
「Map_I」というものは、初めから存在しない。なぜなら、英字での1とIは、フォントによっては同一にも見えるため、区別し難い。そのため、SPI社は当初から「Map_I」を採用していない。
低精細では「へクスナンバー」が読めず、「大河川の縁取り」が読み取れませんでした。圧縮率を減らし、「へクスナンバー」および「大河川の縁取り」を読めるようにしたものが高精細になります（15/Aug./23追加 ）。

全般的な注

　本物の「SPI/HJ"War in Europe 2nd Ed."ゲーム用地図」にフリーハンドの手書きで書き加えたものである。そのため、記入ミスを再び別の色で塗り直すなどをしており、一部見苦しい箇所があることをお断りしておきたい。

「Draft Production Maps」の二次利用について

1.地図連結時に地形が異なるヘクス （第2版エラッタ）

　地図を繋げると、上下の地図で地形が異なるヘクス多数あることに気づくだろう。基本的にヘクスナンバーが他の地図の下になって隠れることなく、ヘクスナンバーが確認できるヘクス側の地形を優先させるのが良かろう。

2.Road(道路)

　道路は、「白線に黒の縁取り」で示している。この例ではA1221-A1222-A1223-A1324と道路が繋がっている。各地図について、ヘクスナンバーを連ねる方式により道路網を提示することも可能だが、まずは画像で確認していただたい。

※「道路の追加」について参考にしたのは、古地図とGoogle Mapである。GDW・GR/Dなどの「ヨーロッパシリーズ」の地図には、残念なことに「道路」そのものが存在せず、「道路を反映させる」ことには参考にできない。

道路をなぜ反映させたかったのか

　道路をなぜ反映させたかったのか。答えは、第一次ソ=フィン戦争(冬戦争)やドイツ軍のバルカン攻略作戦を正確にシミュレーションできていないと考えたかからだ。
　第一次ソ=フィン戦争(冬戦争)において、ソ連軍はヘルシンキに対してレニングラードから直接攻撃をかけただけでなく、実際にはラップランドの奥地から森林地帯の道路を利用してソ連軍機甲部隊が北方からも電撃的な攻撃を目指して」ヘルシンキに向かって攻め入っている。ドイツ軍のバルカン攻略作戦も、まさに道路を利用して遂行された戦いだ。海岸線沿いの道路を使ってアルバニアに向かって一気に抜けてギリシャへの攻撃を果たしているし、ベオグラードへの電撃的な攻撃も内陸の道路を利用しての成功だ。
　しかしながら、SPI/HJ"War in Europe 2nd Ed."の地図には「道路」が存在しない。それ故、「実在の道路」に関係なしに攻撃部隊はどこからでも進軍できるが、「森林」や「山岳」による地形効果を受けてゆっくりと進むことになる。これは明らか史実とは異なる展開だ。

オリジナルルールに変更が必要な事項
  1. 地形効果表(TEC)への道路の反映とそれらを利用する「行軍隊形」に関するルールの追加
  2. 「強行軍」や「蹂躙攻撃」の見直し
  3. 森林・山岳などへの自動車化/機械化/装甲部隊の進入/攻撃の禁止(TEC)
  4. 森林・山岳などへの自動車化/機械化/装甲部隊のZOC展開の制限(TEC)
  5. 道路による移動コストの違いの明確化(TEC)
  6. 森林・山岳などへの山岳部隊の能力の明確化(TEC)

3.Beach(砂浜：上陸可能海岸)

　「砂浜：上陸可能海岸」は、「海へクスからの矢印」で示している。矢印の先端部分が「砂浜：上陸可能海岸」であり、矢印の根本部分を「待機へクス」と考える。この例では、「砂浜：上陸可能海岸」←「待機へクス」と記述するものとし、1703←1902、1803←1903、1804←1904、という形となる。

概要
　上陸部隊を「砂浜へクス」ではなく、「待機ヘクス」へと配置する。目標とする砂浜へクスに敵部隊がいなければ、上陸は自動的に成功し、陸上移動も継続できる。敵部隊があった場合には、上陸戦闘を解決しなければならない。上陸戦闘となった場合、上陸部隊は戦闘後前進により砂浜へクスに侵入するか、あるいは損害を適用した上で待機へクスに留まるか、あるいは撤収を選択できる。待機へクスに留まる場合、その後の戦闘フェイズで再び上陸戦闘を繰り返すこととなる。

※「港湾」について、上陸のための「待機へクス」の設定をここでは行ってはいない。

※「砂浜：上陸可能海岸」の設定について参考にしたのは、AH社の『Third Riech 3rd Edition』である。スケールの違いを意識して、WEUに反映させてみた。

「砂浜：上陸可能海岸」をなぜ反映させたかったのか

　「砂浜：上陸可能海岸」をなぜ反映させたかったのか。AH社の『Third Riech 3rd Edition』には「砂浜：上陸可能海岸：Beach」というものが設定されている。これは、崖や岩場海岸では『機械化された大部隊』による大規模な上陸侵攻が不可能であるとして上陸侵攻そのものを禁じるものである。これを初めて見た時の衝撃は大きいものだった。連合軍側にとっては「意表を突くような上陸地点選択は不可能」となり、ドイツ軍にとっては「『機械化された大部隊』がどこにでも上陸できるわけではないのだから、全ての海岸を防御せずとも、重点的に防御すべき海岸がここにある」、そう示してくれたのだ。しかしながら、SPI/HJ"War in Europe 2nd Ed."の地図には「砂浜：上陸可能海岸：Beach」が存在しない。それこそが「大いなる不満」となった。

※加えて考えるべきは「第一次世界大戦でのガリポリ上陸作戦」だ。ガリポリ上陸作戦での上陸海岸の砂浜は非常に狭く、上陸後の戦闘地域は山岳地帯であった。第一次世界大戦当時は、第二次世界大戦で使われたような「大型強襲上陸用艦艇(AMPF)」は一切存在しない。一般大型輸送船(TRANCE)が上陸地点まで部隊を輸送した。そこから先の上陸作戦遂行には、「K-Ligtherと呼ばれた中型自走艀」や「Y-Ligtherと呼ばれた小型自走艀」が上陸用舟艇として用いられていたが、それぞれ60隻程度と数が少なかった。そのため、大型カッターのような「手漕ぎボート」によるものが初期上陸手段のほとんどだった(二次上陸やその後の補給にはL-Ligtherと呼ばれた大型自走艀を使用:15隻程度)。結局、ガリポリ上陸作戦は、西部戦線に位置したような「重砲を装備した一般歩兵師団」ではなく、「小型軽砲を装備した山岳歩兵師団並みの軽師団」が遂行したものだった。続く第二次世界大戦においても、「大型強襲上陸用艦艇(AMPF)」が登場するまでは第一次世界大戦とほぼ同程度の上陸作戦しかできなかった。
　こういった経緯を考慮に入れて戦闘艦隊（SURF）・一般大型輸送船(TRANCE)・大型強襲上陸用艦艇(AMPF)の輸送能力を見直すと、『「ノルウェー侵攻作戦」を再現するための端緒』を見いだすことができるだろう。

オリジナルルールに変更が必要な事項
  1. 「上陸可能海岸」及び「上陸待機へクス」についての明確化 （各地図について、ヘクスナンバーを連ねる方式によって提示することも可能だが、まずは画像で確認していただきたい）
  2. 「上陸戦闘」の手順明確化」
  3. 戦闘艦隊（SURF）・一般大型輸送船(TRANCE)・大型強襲上陸用艦艇(AMPF)の輸送能力の明確化
  4. 山岳師団（軽歩兵師団）の能力の明確化
  5. 小規模部隊（大隊・中隊) の能力の明確化
  6. 沿岸監視部隊(Coast Watcher)の明確化

4.RailRoad(鉄道)

「鉄道」をなぜ追加しようと考えたのか

　「鉄道」をなぜ追加しようと考えたのか。答えは、「あまりの少なさ」からだ。SPI/HJ"War in Europe 2nd Ed."の地図には確かに「鉄道」が存在しているが、「複線の主要幹線」に限られているようだ。1930年代の古地図を参照してみると、単線であろうとより多くの鉄道網が整備されていたのがわかるし、大戦中にも新たに敷設されることもあったのだ。そして、「地図に表現されていない鉄道」も補給や部隊輸送に貢献していたのだ。その事実を鑑みると、より多くの鉄道網があってしかるべきだろう。加えて、路線の位置を修正しているものも一部ある。各地図について、ヘクス番号を連ねる方式により追加鉄道網を提示することも可能だが、まずは画像で確認していただきたい。
　中には第一次世界大戦前にオスマントルコが築いた「バクダッド鉄道」のように現在に至るまで復旧されていないケースもあれば、ドイツとベルギーを結ぶ鉄道のように第一次世界大戦中に敷設された鉄道がその後も利用され続けたケースもある。それらをどう表現するかは確かに問題点ではある。

※「鉄道の追加」について参考にしたのは、古地図とGDW・GR/Dなどの「ヨーロッパシリーズ」の地図である。残念ながら、「ヨーロッパシリーズ」の地図には、「追加すべきと考えられる鉄道」はあるが、「道路」･「必要と思われる小規模町村落」･「上陸可能海岸」は存在しない。

オリジナルルールに変更が必要な事項　

5.Major River(大河川)

　 大河川は、「青線に従来の河川に対して黒の縁取り」を追加している。ライン川、ドナウ川、ドニエプル川など、第二次欧州大戦時に河川輸送が盛んに行われていた箇所が多数ある。特に東部戦線では、河川輸送が物資補給や人員兵器の移動に大いに貢献している。また、天然の要害となり、渡河点も限られるなど、戦争の趨勢にも大きく影響していた。大河川に相当するかは河幅や水深、ダムの存在によって決まる。

※図の部分は、オランダ国内を流れる「ネーデルライン川」に相当する。

※「大河川」の設定について参考にしたのは、日本国内で教材として発行されている『高等地図帳』である。但し、「最新のもの」は、「第二次世界大戦後のダム建設が反映」されており、WEUの参考としては役に立たない。1970年代頃の古いものに限られるだろう。

大河川として記入し忘れた場所：
　「キール運河：C4505/C4605-C4604/C4605-C4705/4605-C4705/C4706-C4705/C4805-C4804/C4805」について、「河川輸送／海上移動が可能な運河（大河川）」であることを示すため、 「黒い縁取り」を加えて欲しい。

大河川」をなぜ反映させたかったのか

　「大河川」をなぜ反映させたかったのか。答えは、「大河川」には二つの意味があったからだ。第一は「河川輸送」として鉄道輸送のように資源輸送や部隊輸送ができた点である。第二は「渡河作戦の難しさ」である。SPI/HJ"War in Europe 2nd Ed."の地図には大河川が存在せず、河川補給も河川移動もできない。

オリジナルルールに変更が必要な事項
  1. 「大河川」 の明確化（各地図について、C3305/C3205-C3305/C3306-C3405/C3306-C3405/C3406,…とヘクスサイド番号を連ねる方式によって提示することも可能だが、まずは画像で確認していただきたい）
  2. 「河川輸送」についてルール化 （「キール運河を用いた海上移動のルール」を援用し、同様となる）
  3. 「渡河移動コスト」の差別化（TEC）
  4. 「河川越しの砲撃」に関するルールの明確化（TEC）
  5. 河川越しの戦闘後後退・戦闘後前進について

6．「マジノ要塞線」に関する修整 (『タクテクス』26号所収「よみがえれ大巨人」より)

　『世界最強と信じられていた「マジノ線」は実は脆弱だった。それゆえ、実態を反映するために一部を削除する』というのが記事の趣旨であった。それを反映させると左のようになる。削除すべきは2912、2913、3014、3116、3117、3017、2918、2818である。

※左の図では、更にアルザス=ロレーヌのドイツ側の分割線が引かれていることや、一部都市が★になっていることにもご注意いただきたい。
　この場所では、「旧ドイツ領の復帰ライン」が「分割線」であり、「第一次世界大戦前の国境」でもある。「ユーゴスラビア占領後の地域勢力による分割線」や「ルーマニア－ハンガリー旧国境の分割線」も、それぞれの部隊の行動範囲として必要になるだろう。
　なお、★は「旧来の要塞都市」を表しており、C2812は「Verdunの肉挽機」と呼ばれた「Verdun要塞」である。「第一次世界大戦拡張モジュール：FIRST WORLD WAR GAME MODULE (SPI) 」をプレイするには、要塞都市も重要な要素となる。こういった要素も地図上には付け加えておきたい。

「マジノ要塞線削除」をなぜ反映させたかったのか

　「マジノ要塞線削除」をなぜ反映させたかったのか。答えは、「マジノ要塞線に関する過大評価」そのものにある。正すべきことは正しておきたい。

※なお、『タクテクス』26号所収「よみがえれ大巨人」では「フランスの降伏条件」についても論じられており、それについては別の機会に論じたい。

オリジナルルールに変更が必要な事項
  1. 「マジノ要塞線」の有効性について
  2. 「エバン・エマール要塞」の有効性について

7.「分割線」の追加

※後日掲載

8.デンマークの鉄道と橋

　デンマークの国内の鉄道線を見てどうなっているのかと不思議に思うのは当然のことだ。加えて、遮蔽ヘクスサイドの見極めも困難だ。デンマークは、ゲーム上では軍事部隊が存在しない扱いであり、「ヴェーゼル演習」シナリオが省略されたこともあり、充分に検討されたとは思えない。以下の事項は、「ヴェーゼル演習」シナリオを考える上では、重要な要素となる。なお、「デンマーク占領」は「南部ヴェーゼル演習」として実施されたものである。

※左に示す地図は、以下の修正を反映していないので注意。また通常の地図と比較しやすいように、上部が北となるように回転させている。

デンマークについて追加修整するべき事項について(26/May/2024追加.)
　最初は「大勢に影響がないだろうから、鉄道フェリーと橋を論じるだけで省略可能」と思えたが、「南部ヴェーゼル演習」としてゲーム上で実際に再現しようとするとノルウェー同様にデンマーク地域の地図についてもいくつもの修整が必要であることに気がついた。「DG社版のRevised Edition(第3版)」でも地図は、デザインだけが変更されているだけで、「地形や都市の位置はそのまま踏襲した」と言える。ここで論じることは修整するべき事項として「DG社版のRevised Edition(第3版)地図」にも共通する事項である。

ドイツ軍の上陸侵攻能力について(26/May/2024追加.)
　ドイツ軍は、ドイツ陸軍工兵隊考案したPionierLandungsBoote38(PiLb38)やドイツ海軍が考案したMaineFahrPrahm(MFP)試作型の上陸用輸送船艇を開戦時には多数保有していたようである（数量不明）。
　PiLb38が活躍したのが「北部ヴェーゼル演習」作戦だ。大型艦船が接岸不可能な場合、大型艦船からPiLb38へと移乗し、上陸海岸へと向かったのだ。MFP試作型が活躍したのが「南部ヴェーゼル演習」作戦だ。「MFP試作型」を利用していると思われる写真がGerman invasion of Denmark (1940) - Wikipediaに掲載されている（続く説明では「地元のフェリー」となっている。しかし、シュレースヴィヒ・ホルシュタインに対する「船体の長さ(MFPの長さはおよそ47ｍ)」、「艦橋周辺に武装が施されている」ことから、「誤認」と思われる）。
　ところで、MFPを「日本語版Wikipediaでは『砲艦』と紹介」しており、「上陸用舟艇としての紹介」は一切ない。英語・ドイツ語・オランダ語・デンマーク語と確認すると、どれも「上陸用舟艇」として詳しく紹介されている。MFPについて、より深い考察が我々には必要に思えてならない。PiLbについても、「日本語版Wikipedia」では紹介が一切無いというのも、残念なことである。戦闘経過についても、日本語・英語・ドイツ語・オランダ語・デンマーク語と確認すると、同様に「内容が全く異なっている」ことにも、驚かされる。

(29/Jun/2024修整)

グレート・ベルト海峡大規模鉄道フェリー・ルート ⌦－⌫(29/Jun/2024修整)

　C5203のグレート・ベルト海峡を挟む鉄道線は大規模鉄道フェリー・ルートである。鉄道フェリー・ルートとは、海上輸送の定期航路を示すものであって、鉄道線や道路は実在していないことに注意。
  1. C5203のグレート・ベルト海峡を挟む鉄道線は鉄道フェリー・ルートである。
  2. 鉄道フェリー・ルートの両端において、大規模鉄道フェリー港を⌦あるいは⌫のような形で示す。
  3. 鉄道フェリー・ルートの両端(B5103とB5304)の鉄道フェリー港を支配することで、鉄道フェリー・ルートを利用しての陸上部隊の移動は可能となる。
    1. 大規模鉄道フェリー・ルートを利用しての陸上部隊の移動は、実際上は鉄道フェリーによる海上移動であるが、ゲーム上の移動コスト(MC)は「道路移動としての１MC」あるいは「鉄道移動としての１RMC」として処理する。
    2. 大規模鉄道フェリー・ルートの移動コストには、「橋のない場所での渡河」のような追加移動動コストは発生しない。
    3. C5203の大規模鉄道フェリー・ルートに対して、戦術空軍による航空海上移動妨害は可能である。
    4. C5203のグレート・ベルト海峡において陸上/鉄道移動を終了することはできず、必ず通過しなければならない。
  4. C5203のグレート・ベルト海峡において陸上/鉄道移動を終了することはできないことから、C5203より他のヘクスへの攻撃はできない。
  5. ⌦あるいは⌫で示された大規模鉄道フェリー港そのものは、通常の港湾と同様に扱う。あらゆる港湾破壊の対象となる。
  6. 戦略爆撃により、C5203の鉄道フェリー・ルートそのものを破壊することはできない。
  7. デンマーク周辺には、同様な鉄道フェリー・ルートがいくつもあり、上記を援用すること。
お詫び：最初に参照した地図が「新しすぎ」であった。よくよく調べてみると、「大ベルト海峡の海底トンネルの完成は戦後のこと」で、「第二次世界大戦当時は鉄道フェリー輸送」であった。心からお詫びして、訂正したい。

フェルマン海峡小規模鉄道フェリー・ルート ⍈－⍇ 　(29/Jun/2024追加)

　C5106からC5006に至るフェルマン海峡小規模鉄道フェリー・ルートは小模鉄道フェリー・ルートである。鉄道フェリー・ルートとは、海上輸送の定期航路を示すものであって、鉄道線や道路は実在していないことに注意。
  1. C5106からC5006に至るフェルマン海峡小規模鉄道フェリー・ルートは小模鉄道フェリー・ルートである。
  2. 小規模鉄道フェリー・ルートの両端において、小規模鉄道フェリー港を⍈あるいは⍇のような形で示す。
  3. 小規模鉄道フェリー・ルートの両端の小規模鉄道フェリー港を支配することで、小規模鉄道フェリー・ルートを利用しての陸上部隊の移動は可能となる。C5006のフェルマン島はドイツ領であり、ゲーム開始時にはドイツ軍が支配している。
  4. 小規模鉄道フェリー・ルートとは貨車数両を一度に輸送できるだけのものに過ぎず、補給ルート設定や部隊輸送に以下の制限を受ける。
    1. 小規模鉄道フェリー・ルートを利用しての補給は小規模補給となる。
    2. 小規模鉄道フェリー・ルートを利用しての陸上部隊の移動は、実際上は鉄道フェリーによる海上移動であるが、ゲーム上の移動コスト(MC)は、道路移動はできず、必ず「鉄道移動としての１RMC」として処理する。
    3. 小規模鉄道フェリー・ルートの移動コストには、 「橋のない場所での渡河」のように追加移動動コストを発生する。乗船のために「鉄道移動としての＋5RMC」、下船のために「鉄道移動としての＋5RMC」として処理する。 つまり、C4907にいる部隊がC5106へと鉄道移動するためには、22RMCを費やすことになる。
  5. フェルマン海峡小規模鉄道フェリー・ルートに対して、戦術空軍による航空海上移動妨害は可能である。
  6. C5106あるいはC5006のどちらかで陸上/鉄道移動を終了することはできる。
  7. C5106/C5006ヘクスサイドを通しての攻撃はできない。
  8. ⍈あるいは⍇で示された小規模鉄道フェリー港そのものは、通常の港湾と同様に扱う。あらゆる港湾破壊の対象となる。
  9. 戦略爆撃により、小規模鉄道フェリー・ルートそのものを破壊することはできない。
  10. 同様な小規模鉄道フェリー・ルートに対しては、上記を援用すること。
お詫び：最初に参照した地図が「新しすぎ」であった。よくよく調べてみると、「フェルマン海峡の橋の完成は戦後のこと」で、「第二次世界大戦開戦当時は小規模鉄道フェリー輸送」であった。心からお詫びして、訂正したい。

ヘクスサイドに架かる橋：リトル・ベルト鉄道橋 (22/Jun/2024一部修整)

　C5001/C5002の海峡を挟む鉄道線は鉄道橋である。鉄道橋の存在を示すために地図上の表記に変更は加えない。
  1. C5001/C5002の海峡を挟む鉄道線は、鉄道橋が存在する大河川ヘクスサイドと見なす
  2. その両端(C5001とC5002)の鉄道線を支配することで鉄道橋を利用しての移動は可能とする。
  3. その両端(C5001とC5002)において移動を終了することができる。
  4. その両端(C5001とC5002)間での戦闘は行える。この時、C5001/C5002ヘクスサイドは橋が存在する大河川ヘクスサイドと見なす。
  5. C5001･C5002それぞれの鉄道に対して、航空移動妨害はできる。
  6. C5001･C5002それぞれの鉄道に対して、戦略爆撃によって破壊することはできる。
  7. 戦略爆撃により、C5001/C5002の橋そのものを破壊することはできない。
  8. 以上の変更に基づいて、C4902/C5002･C4903/C5002の各ヘクスサイドは遮蔽ヘクスサイドとする。

ヘクス内に架かる橋：ストロストロム鉄道橋(22/Jun/2024修整)

　C5205の海峡には鉄道橋が存在する。鉄道橋の存在を示すために地図上の表記に変更は加えない。
  1. 鉄道橋の両端(C5205とC5305)を支配することで、鉄道橋を利用してC5205とC5305との移動は可能とする。
  2. C5205、C5305、それぞれの移動コストは、「陸上移動としての１MC」あるいは「鉄道移動としての１RMC」として処理する。 追加移動コストはない。
  3. 鉄道橋の両端(C5205とC5305)において移動を終了することができる。
  4. 鉄道橋の両端(C5205とC5305)間での戦闘は行える。この時、C5205/C5305ヘクスサイドは橋が存在する大河川ヘクスサイドと見なす。
  5. C5205･C5305それぞれに対して、航空移動妨害はできる。
  6. 戦略爆撃により、C5205の鉄道橋そのものを破壊することはできない。
  7. 以上の変更に基づいて、C5205/C5305ヘクスサイドは、「遮蔽ヘクスサイド」ではなく、「通常ヘクスサイド」とする。
お詫び：最初に参照した資料には「鉄道の存在」が無視されていた。よくよく調べてみると、ストロストロム橋は、「単独の道路橋」ではなく、「道路と鉄道が併設された複合橋」であった。心からお詫びして、訂正したい。

C5403は、本当にヘクス全体がClear Hex：平地なのか(12/Jun/2024一追加)

　C5403には、大きな変更が必要だ。東端側にはRoskilde Fjord:ロスキレ・フィヨルドがあり、中央部にはIse Fjord:アイセ・フィヨルドが広がっている。
  1. C5403に、東端側にはRoskilde Fjord:ロスキレ・フィヨルドがあり、中央部にはIse Fjord:アイセ・フィヨルドを描く必要がある。
  2. C5403/C5503･C5403/C5504の の各ヘクスサイドは遮蔽ヘクスサイドとする。
  3. ヴェールローゼ空軍基地の位置をC5504へと変更する 。
  4. C5404:Roskide ⚓　ロスキレ （内陸港）を追加する。
  5. C5403:Holbæk ⚓　ホルベック （内陸港）を追加する。
  6. C5403/C5503･C5403/C5504の各ヘクスサイドは遮蔽ヘクスサイドとする。
  7. ロスキレ港に至る、C5403/C5503･C5403/C5504の各ヘクスサイドは「船舶が航行可能な大河川」と見なす。

デンマーク国内の陸上飛行基地（陸上飛行場）：Land Airport in Denmark　⌿　(12/Jun/2024一部修正)

　畑作の平地が多いことから、デンマーク国内各地にドイツ軍は占領期間中にいくつもの飛行場を構築している。それらは現在も飛行場として使用されている。
*：オールボー空軍基地は運河の北側、オールボー港（運河南側の内陸港･鉄道駅）の対岸に位置する。「ゲーム上の位置」としてC5531とすることは、やはり無理がある。

デンマーク追加小規模貨物旅客港湾（鉄道フェリー港は別に掲載）：Addendum Minor Port in Denmark　⚓　(12/Jun/2024追加修整)

*：鉄道の末端が「Frederikshavn：フレデリクスハウン港」である。
**：「Hårbølle：ホールボーレ港」は、「モン島：C5306-C5406」のC5306部分南海岸側にある。

デンマーク国内の上陸可能海岸(04/Jun/2024修整)

　前述の「Beach(砂浜：上陸可能海岸)」に従い、「砂浜：上陸可能海岸」←「待機へクス」と記述する。 　デンマークの海岸線は「見た目は砂浜がほとんど」であり、より多くの海岸に上陸可能と思えるかもしれない。しかし、「流砂防止ための『沈礁』が整備されていない」状況であったり、砂浜に続く後背地に「湿地帯や樹林地帯がある」 ため、「上陸に適した海岸」というものはとても少ない。

リムフィヨルド運河(04/Jun/2024修整)

　多くの「現実の地図」と「WEUのゲーム地図」とでは、「リムフィヨルド運河に対する扱い」が異なっている。以下のように修整すべきだ。
  1. C5030/C5131の水路は、C5131内でC5230の水路に繋がっている。
  2. C5431の水路は 、C5432/C5532ヘクスサイドでC5532のKATTEEGAT海峡に繋がっている。
  3. 冬季を除いて、C5029-C5130-C5030-C5131-C5230-C5331-C5431-C5532と、リムフィヨルド運河を通って海上移動ができる。
  4. リムフィヨルド運河が「河川輸送／海上移動が可能な運河」であることを示すため、上記内の小河川のように扱われている部分について「黒い縁取り」を加える。
  5. B5131内の運河部分については、運河両岸を結ぶ大規模鉄道フェリー(運河大規模鉄道フェリー)が運航されていた。[⌦-⌫]
    1. B5131の移動コストは、「陸上移動としての１MC」あるいは「鉄道移動としての１RMC」として処理する。 追加移動コストはない。
    2. B5130/5131ヘクスサイドでの戦闘は「橋のない大河川の渡河戦闘」と見なす。
　C5131-C5230-C5231-C5431の水路は、本来は東西の海を結ぶ「リムフィヨルド運河」であるはずなのに、その両端が閉塞されてまるで湖のようになっている。これは、下敷きにした地図の縮尺による精度と表現の問題と思われる。精度の高い地図ではリムフィヨルド運河は正確に描かれている。しかし、精度の低い地図では、その両端が閉塞されてまるで「湖のように表現している地図」もあれば、しっかりと「水路を表現している地図」もあるのだ。冬季は水量が減少することによって運河としての東西通行はできなくなるにしても、１年中使用できないというのは、シミュレーションゲームとしてはいかがなものだろう。
　加えて言えば、地図作製テクニックとしても、リムフィヨルド運河をヘクスサイドに沿う形にするのがシミュレーションゲームとしての本来のやり方であるはずなのだが…。｢充分検討して練り上げて作った」と言うよりも、「ともかく作った」という印象がここにも現れている。このような場所は他にもあるかもしれない。

コペンハーゲンの位置(25/May./2024追加修整)

　オリジナルWEUゲーム地図ではC5404がコペンハーゲンとなっている。これは作成上のミス、あるいは「ゲーム上の位置」である。様々な地図を見ると同時に、コペンハーゲン空港(カストラップ空港)の位置を考えると、コペンハーゲンが「あるべき正しい位置はC5505の半島部分」である。

グルドボー海峡　Guldborg Sund　(26/Jun/2024追加修整）

　C5205-C5206には、正しくは「グルドボー海峡」が通っており、平地ではない。北部には道路橋があり、中央部には鉄道橋も存在している。そのため、ゲーム上は北部地域(C5205)を平地と見なすことも可能である。
  1. 「グルドボー海峡」は、水深の面から考えると大型船舶は通過できない。そのため、通常の河川と見なす。
  2. C5205には道路橋がある。 地図上では、道路橋を ︻（白大括弧）で示している。
    1. C5205の移動コストは、この道路橋を利用しての移動と見なし「陸上移動としての１MC」とする。
    2. C5205に対して、航空移動妨害はできる。
    3. 戦略爆撃により、C5205の道路橋そのものを破壊することはできない。
    4. 以上の訂正を加えずに平地のままにしたとしても、ゲーム上の影響はないことにも注意。
  3. C5206には鉄道橋がある。鉄道橋の存在を示すために地図上の表記に変更は加えない。
  4. 「グルドボー海峡」を追加したことにより、鉄道経路を一部変更した。

Draft Map BおよびC に対するデンマーク国内鉄道、鉄道フェリー・ルートの追加　(29/Jun/2024修整）

鉄道フェリー港一覧(29/Jun/2024 追加）

大規模鉄道フェリー港 ⌦ 小規模鉄道フェリー港 ⍈　 *：同一ヘクス内の港を北から南に向けて順番に示した。

ドイツ=スウェーデン鉄道フェリー・ルート：キングス・ラインの追加(18/Jul./2024 追加）


修正済みデンマーク領域試作地図:第４-6版　(18/Jul./2024修整)

　以上の追加・修正に基づいた「修正済みデンマーク領域試作地図」を作製した。注意点は以下の通り。
  • 修正部分は、以上で示した書式に基づいている。オーバーレイと使用することも可能だ。しかし、色が異なるので、できれば各自で所有地図に対して修整していただきたい。
  • 各項目で示したユニバーサルフォントを地図記号として使用したことにより、WEUオリジナルと地図記号が多少異なっていることをお許しいただきたい。
  • 地名標記には、どの言語を優先させるかを考えなけれならない（英語表記・現地語表記・日本語表記の間では、スペルも発音も大きく異なることがある）。そのため、地名を入れていないことをお許しいただきたい。
  • C5205/C5305ヘクスサイドは、「遮蔽ヘクスサイド」ではなく、「通常ヘクスサイド」である。
  • C5403内に本来あるべきはずのフィヨルドを描画した。(12/Jun/2024修整)
  • C5403内のフィヨルド描画のため、デンマークの国名を消去し、別の場所の記載した。(12/Jun/2024修整)
  • C5403内のフィヨルド描画のため、C5403のヘクスナンバーも消去した。それでも、C5403であることには変わりはない。
  • ロスキレ港に至る、C5403/C5503･C5403/C5504の各ヘクスサイドは「大型船舶が航行可能な大河川」である 。この試作地図では、これらの大河川を示す黒い縁取りがなされていないので、注意。　(12/Jun/2024修整)
  • グレート・ベルト海峡鉄道フェリー・ルートの修整 　(18/Jun/2024修整)
  • デンマーク国内鉄道の追記、それに伴う鉄道フェリーの追記 　(22/Jun/2024追加修整)
  • グルドボー海峡　Guldborg Sund　の追加(26/Jun/2024追加修整）
  • 鉄道支線の追加　(26/Jun/2024追加修整）
  • フェルマン海峡に関わる鉄道フェリーの修整　(29/Jun/2024修整)
  • ドイツ=スウェーデン鉄道フェリー・ルート：キングスラインの追加　(18/Jul./2024修整)
「修正済みデンマーク領域試作地図高精細第４-6版」は、こちらから ダウンロード

「南部ヴェーゼル演習＝デンマーク占領作戦」を再現するために必要なことは何か（30/May/2024追加）

　「南部ヴェーゼル演習＝デンマーク占領作戦」を再現する上で、「ルール的に必要なこと」は何だろう。
こういった疑問点が沸いてくる。結局、「疑問点を解決するための適切なルール」が必要だ。

9.ノルウェーの飛行場と小規模港湾

　ノルウェーの国土全体を見渡した時、すぐに気づくのは、平地の少なさだ。地図でもClear Hex(平地)はオスロ周辺にあるだけで、中心部の山脈がMountain Hex(山岳)で示され、連なる周囲の準山岳地一帯がRough Hex(荒地２)となっている。地図上には港も少ない。加えて、遮蔽ヘクスサイドの見極めも困難だ。「ヴェーゼル演習」シナリオが省略されたこともあり、様々な事柄が充分に検討されたとは思えない。ここでは、野戦航空基地(飛行場)と上陸可能な小規模港湾について考えてみたい。

野戦陸上航空基地(陸上飛行場)：
　ルール上、戦術航空機は東部･西部･南部の３地域制が採用されており、各地域ごとに一括運用される。ルール上の航空基地は、連合軍の戦略爆撃機･援護機の戦略航空基地に限られ、戦術航空機には「野戦航空基地」という概念がない。この事から言えば、ゲーム上はどこからでもどこに対しても戦術航空攻撃ができるということになってしまう。だが、山岳･準山岳地域のため、当時も今もノルウェー国内には数えるほどの陸上飛行場しかなく、実際上の航空機運用は制限を受ける。だからこそ、ドイツ軍はノルウェー国内陸上飛行場の早期占領にこだわった、と言える。実際にはノルウェー国内に限らず、各国の野戦航空基地として使用可能な陸上飛行場を全地図上に反映させるべきだろう。前後のことを考えると、特にクレタ島・シチリア島・マルタ島などの飛行場も重要な要素だ。
　かたや、対する連合軍について言えば、早期にドイツ軍よりノルウェー国内の飛行場が占領されたことにより、「イギリス軍空母」の活用が焦点となった。トロンヘイムやナルヴィクへの航空支援は、イギリス本土から直接行うことはできず、イギリス軍空母にしかできないことである。投入空母数によってイギリス軍の対地上航空支援や艦隊防空は限られたものとなった。イギリス軍艦船がU-ボートやドイツ軍の航空攻撃を受け続けたことで、空母の撤退にもつながる。しかしながら、ノルウェー国内に野戦航空基地を現実には持たないために戦術航空支援ができないはずのイギリス・フランス連合軍は、「野戦航空基地や空母という概念がないルール」上はノルウェー国内のどこに対しても全戦術空軍力をいつまでも投入し続けて戦術航空攻撃ができるということになってしまう。
　戦術空軍に関する非現実的な要素を排除するには、「野戦航空基地」や「空母」という概念が必要だろう。

　これに加えて言えば、「空挺降下の航続可能距離」は拡大されるべきである。連合軍C-47輸送機の航続可能距離は最大5,800kmであり、ドイツ軍Ju52輸送機の航続可能距離は最大14,000kmである。1ヘクスがおよそ33kmなので、連合軍C-47輸送機の航続可能距離は176へクス(往復では片道88ヘクス)であり、ドイツ軍Ju52輸送機の航続可能距離は42へクス(往復では片道21ヘクス)となる。連合軍C-47輸送機は「トーチ」作戦においてイギリス本土から北アフリカのオラン(Oran：A2134)へと米軍空挺部隊を輸送（降下と現地強行着陸）しているし、ドイツ軍Ju52輸送機は「ヴェーゼル演習」作戦においてラーデ飛行場(Trondheim：F0916)からナルヴィク(Narvik：F2907)に独軍山岳部隊を輸送（降下と帰着）している。史実として実施されているにもかかわらず、どちらの輸送も現在のルール上の距離制限に従うと実行不可能である。

上陸可能な小規模港湾：
　史実では「ヴェーゼル演習」に対応する形でイギリス・フランス・自由ポーランド軍からなる連合軍のノルウェー上陸が行われた。史実での連合軍各上陸地点には小規模ながらも港湾設備があった。ルール上で言えば、「TRANCEポイントによる港湾輸送」に相当する。それらの港湾を「補給策源地」として連合軍は内陸への進撃を開始した。だが、それらの小規模港湾が地図上には「一つも小規模港湾として示されていない」ため、ゲーム上は「TRANCEポイントによる港湾輸送」もできず、「補給策源地」としても使用できず、史実と全く異なる展開となってしまう。
　ノルウェー国内に限らず、「史実において何らかの形で利用された港湾」を全地図上に反映させるべきだろう。

　これに加えて言えば、「AMPFポイントの扱い」も再検討が必要だ。イギリス軍にとっては、機械化された機甲師団や自動車化された自動車化歩兵師団の大規模な上陸侵攻はLST Mk.1の3隻が1941年8月に就役して初めてできたことのはずである。量産型のLST Mk.2の生産は1942年6月から始まり、10月より就役し始めて1942年末までに23隻が就役した。ルール上は、10/39サイクルに最初の1AMPFポイントが配備され、その利用内容に関する制限もない。史実から考えると、現実にはALC18隻を積載したLSI Mk.1の就役と見るべきで、その利用は非自動車化歩兵部隊に制限すべきだ。史実に合わせるためには、「時期によるAMPFポイントの利用内容に関する制限」が必要となる（当時イギリス本土内にあったイギリス軍歩兵部隊は、ゲーム上は全てが自動車化歩兵旅団であるが、非自動車化歩兵旅団も多く存在した。それら非自動車化歩兵旅団がノルウェーに派遣されている。フランス軍も同様である）。
　かたや、ドイツ軍は、PionierLandungsBoote38(PiLb38)やMaineFahrPrahm(MFP)試作型の上陸用輸送船艇を開戦時には多数保有していたようである（数量不明）。「制式化されなかった試作多砲塔戦車」が投入されたように、それらの「制式化前の上陸用輸送船艇群」は「ウェーゼル演習」で実戦に用いられ、イギリス本土上陸作戦に向けて制式化される。この史実からすれば、ドイツ軍には開戦時から1AMPFポイントを与えるべきであるし、連合軍と同様の「時期によるAMPFポイントの利用内容に関する制限」が必要となる。

※図は、以下の修正を反映していないので注意。また通常の地図と「地名・場所」を比較しやすいように、上部が北となるように回転させている。
　※図の高精細版はこちらからダウンロード

ノルウェー国内の陸上飛行基地（陸上飛行場）：Land Airport in Norway　⌿

以上には、「ノルウェーでの戦闘中に使用された陸上飛行場」を含めているが、「ドイツ軍による占領後、ドイツ軍が新たに構築した陸上飛行場」は含めていない。加えて、「水上機飛行場」も含めていない

*：「トロンヘイム飛行場」と呼ぶ場合、「ラーデ飛行場」と「ヴェルネス飛行場」とのどちらを示すのが正しいか難しいところである。現在は、「ラーデ飛行場」が廃止されていることから、「ヴェルネス飛行場＝トロンヘイム飛行場」である。当時はトロンヘイムにより近い「ラーデ飛行場」を「トロンヘイム飛行場」と呼び、「ヴェルネス飛行場」と区別していた。このような経緯を考慮し、ゲーム上の両者の位置と呼称を決定した。
　余談ながら加えると、開戦当時のラーデは平坦で広大な農地だった。ラーデの平坦で広大な農地をトロンヘイム地域占領(09/Apl./1940)と同時に「大型輸送爆撃機の発着可能な野戦飛行場」として活用したのが「ラーデ飛行場」の始まりだ。「ヴェルネス飛行場」は、小型戦闘機には充分であったにしても、滑走路が短かいために大型輸送爆撃機が利用するには拡張工事が必要であったことから、使用が制限された。トロンヘイム地域占領(09/Apl./1940)と同時に、「野戦飛行場」として「ラーデ飛行場」の滑走路及び兵舎整備と「ヴェルネス飛行場」の拡張工事が始まり、どちらも28/Apl./1940頃までに完成している。

ノルウェー追加小規模港湾：Addendum Minor Port in Norway　⚓

以上には、「ノルウェーでの戦闘中に主要上陸地点となったり、補給策源地として使用された港湾」を含めているが、この他にも多数の港湾がノルウェー国内には存在している。

ノルウェー追加地名

Draft Map F に対するノルウェー追加鉄道

Draft Map F に対するノルウェー追加道路

以上の追加地名・道路は、「ノルウェー王室の移動先関連」を含めている。(07/May./2024追加.)
　4月9日早朝の戦闘開始直後に王室はオスロからの移動を開始する。歴史的には、B6025/B6125の海峡部分となるドローバック水道を「ドイツ軍オスロ強襲部隊」は「オスカースボルグ要塞」からの攻撃によって通過できず、オスロOslo港(F0224)への上陸を断念し、水道手前のソンSon港(B6126･F0126)に上陸した。このため、オスロ占領が4月9日夕刻となった。これにより、王室はドイツ軍の「王室捕獲」を逃れて政府移転先に4月9日昼までに移動できた。4月9日早朝のオスロ出発の時点ではノルウェーに対する連合国軍側の対応がはっきりしなかったことにより、「スウェーデンへの亡命」を視野に入れての移動であったと思われる。オスロ占領後もドイツ軍は「王室捕獲」に向けて政府移転先へと王室を追いかけるが、「王室捕獲」に失敗する。
　4月14日に始まる「ドンバスの戦い」は、単なる「鉄道分岐点を巡る戦い」ではなく、「王室捕獲を巡る戦い」でもあったと思われる。「ドンバスの戦い」に連合国軍が勝利したことにより、王室は連合国軍との接触を果たしてトロムソに移動することができ、最終的に連合国軍とともにイギリスへ脱出した。

10.凍結港

※後日掲載

11.油送パイプライン

※後日掲載

12.「地図K」の追加

※後日掲載

13.新たな「地形効果表(TEC)」

  1. 移動に関する地形効果表:Movement Cost:MC(Mv.mode:ON Rail or Road/Dp.mode:No-Rai or No-Road) and ZOC (Draft4.2) (18/Jun/2024修整)
  2. 戦闘に関する地形効果表:Combat Effect(Mv.mode:ON Rail or Road/Dp.mode:No-Rai or No-Road) (Draf4.2) (18/Jun/2024修整)
　様々な観点から、分類掲載事項が増えたため、「移動」と「戦闘」に分けて掲載した。

オリジナルルールに変更が必要な事項
  1. 道路や鉄道を利用した「行軍隊形」での移動に関するルールの追加
  2. 行軍隊形の部隊に対する「正面攻撃」 と「側面攻撃」に関するルールの追加
  3. 「砲撃」に関するルールの追加
  4. 追加施設への対応

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