SPI "War in Europe" (WEU) 5th Edition
Revised Rule：
ゲームターンの再構成:"Game Turn" Re-structure.

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なぜゲームターン構成の変更に至ったか

　当時とあっては「一般的な作戦級ゲームのフェイズ手順」そのままであり、またその詳細に関するルールも当時とあっては「一般的な作戦級ゲームのルール」で作られている。しかしその当時の「一般的な作戦級ゲームのフェイズ手順」は「１ターンが短い時間（１日～２日程度）の作戦級ゲーム」を前提してデザインされたものである。WEUは「１ターンが７日間」のゲームである。「７日間もあれば、より多くのことができてしまう」ということが注目されておらず、むしろ忘れられている。このため、「1ターン7日のゲームなのでありながら、史実の7日間ではできたはずのことが、ゲーム上はできない」という問題が多数生じてしまっている。

[4.2]ゲームターン構成

[4.21]ゲームターン構成の詳細

A. 増援/補充/再編成フェイズ：Reinforcement/Replacement/Reorganization Phase

  1. 双方同時に各ターンの最初に進行する
  2. 増援：Reinforcement　新たに得られた増援部隊や補充ポイントを配置する
  3. 野戦補充：Replacement　それまで蓄積された野戦補充ポイントを消費して、野戦補充を行う
  4. 再編成：Reorganization　同一ヘクスあるいは隣接する互いに侵入可能なヘクスにあるユニットにより、部隊統合/部隊分割を行う

B. 第１プレイヤーターン(ドイツ軍及びその同盟国軍)：1st PLAYER's TURN(German & Axis)

　各プレイヤーターンは、２回の行動ステップからなる。１回目の行動ステップには「敵対プレイヤー対応行動ステップ：Opposite Player's Corresponding Action Step」があるが、２回目の行動フェイズには「敵対プレイヤー対応行動ステップ：Opposite Player's Corresponding Action Step」はない。

1. 第１行動フェイズ：1st Action Phase

1. 同盟破棄(宣戦布告)セグメント：Breaking Player's Alliance (Declaration of War) Segment of Axis Player Turn

  1. 枢軸軍陣営プレイヤーが、他のプレイヤーの承認に関係なく、「中立国」・「中小国」に対する「分割線への侵入・併合」・「宣戦布告」を宣言する。
  2. 枢軸軍陣営プレイヤーが、他のプレイヤーの承認に関係なく、「主要国」に対する「同盟破棄」・「宣戦布告」・「参戦」を宣言する。
　「中立国」・「中小国」に対するへの「分割線への侵入・併合・宣戦布告」に伴い、非フェイズ・プレイヤーが「担当中小国プレイヤーとなり、その外交」について決定する。動員条件、参戦条件、移動条件、降伏条件などに注意すること。

※オリジナル・ルールでの問題点：オリジナル・ルールでは、「攻撃開始＝同盟破棄(宣戦布告)」となっているだけで、同盟破棄(宣戦布告)のゲーム上のタイミングについて明確に論じられていない。ゲーム上のタイミングを明確化する上では、ここしかない。その後の政治ポイントへの影響に注意すること。

2. 戦術空中戦セグメント：TACTICAL AIR WAR Segment

　詳細は本文[13.0]戦術空軍力で論じられている。但し、各ターンの冒頭に１回ではなく、各行動フェイズの冒頭となり、１ターンの中で複数回行われることに注意して欲しい。

1. 戦術空軍指令ステップ：Tactical Air Commitment Step

　双方同時に「各作戦に何ポイントを費すか」を決定する。

2. 戦術空軍空中戦ステップ：Tactical Air Combat Step

　　相互のポイント数に従い、交戦結果を判する。

3. 戦術空軍爆撃ステップ：Tactical Air Bombing Step

　双方同時に港湾攻撃任務を行い、結果を判する。

4. 戦術空軍移動妨害ステップ：Tactical Air Interdiction Step

　双方同時に戦術空軍移動妨害マーカーを地図に配置する。

3. 行動ステップ：Action Segment

　移動(海上・航空・鉄道・陸上)、あるいは陸上戦闘（隣接ヘクス戦闘・同一ヘクスBT/BP戦闘）のどちらかを行う。その順序に制限はない。「移動の詳細」については、それぞれの移動方法のルールを参照すること。「陸上戦闘の詳細」については、陸上戦闘のルールを参照すること。
　ex. 最初に空挺降下を行い、その空挺降下に伴う空挺降下同一ヘクスBT/BP攻撃を解決後に他の部隊が空挺部隊を乗り越えて移動することも可能である。その時、空挺部隊を乗り越えようとする部隊は全MAを用いて移動でき、後から移動したことによるMAの減殺はない。

1. フェイズ・プレイヤー行動ステップ：Phasing Player's Action Step

　フェイズ・プレイヤーが、全ユニットについて、移動(海上・航空・陸上)、あるいは戦闘のどちらかを行う。 一部の部隊が戦闘を行い、他の部隊が移動するという選択もできる。その順序も自由に決めて良い。

2. 敵対プレイヤー対応行動ステップ：Opposite Player's Corresponding Action Step

　敵対プレイヤーが、「対応行動可能な全ユニット」について、移動(海上・航空・陸上)、あるいは戦闘のどちらかを行う。この時、事前に行動予定の部隊を指定しておく必要はない。なお、一部のユニットには対応行動ステップで行動できない部隊（移動力に下線が付されたユニット:ex.ポーランド軍、フランス軍、ソビエト軍の一部）があることにも注意すること。それらの部隊は、この対応行動ステップにおいて、移動することもできず、攻撃することもできない。
　なお、「第２行動フェイズ：2nd Action Phase」には、「敵対プレイヤー対応行動ステップ：Opposite Player's Corresponding Action Step」は存在しない。

4.同盟締結セグメント：Conclusion of Player's Alliance Segment of Axis Player Turn

  1. 枢軸軍陣営プレイヤーが、他のプレイヤーの承認を受けて「同盟の締結」を宣告する 。
  2. 枢軸軍陣営の攻撃に対する降伏、分割地の併合/占領などを確認する。降伏条件や分割地の併合/占領条件を確認すること。
  3. 「系列中小国の他陣営への降伏」を確認する。「降伏に伴う陣営を鞍替えしての参戦」もここで確認する(ex.ルーマニア軍)。降伏条件、参戦条件に注意すること。「降伏に伴う陣営を鞍替えしての参戦」となった場合、続く該当陣営プレイヤー・ターンから該当陣営中小国としてプレイに加わる。移動条件に注意すること。
  4. 「政治ポイントの変化による系列中立国の参戦」を確認する。参戦となった場合、次の枢軸軍陣営プレイヤー・ターンから枢軸軍中小国としてプレイに加わる。参戦条件、移動条件、などに注意すること。
※オリジナル・ルールでの問題点：オリジナル・ルールでは、中小国の参戦や降伏、プレイヤー同士の同盟締結のゲーム上のタイミングについて明確に論じられていない。ゲーム上のタイミングを明確化する上では、ここしかない。その後の政治ポイントへの影響に注意すること。

2. 第２行動フェイズ(上記と異なる)：2nd Action Phase (Not Same as Above)

第２行動フェイズには「敵対プレイヤー対応行動ステップ：Opposite Player's Corresponding Action Step」がないことを除き、第１行動フェイズと同じである。

C. 第２プレイヤーターン(イギリス軍及びその同盟国軍)(上記と同じ)：2nd PLAYER's TURN(CW & CW Allies)(Same as Above)

　攻守を交代して第２プレイヤーがフェイズプレイヤーとなり、上記のプレイヤーターンを実行する。

1. 連合軍同盟破棄(宣戦布告)セグメント：Breaking Player's Alliance (Declaration of War) Segment of Allies Player Turn

  1. 連合軍プレイヤーが、他のプレイヤーの承認に関係なく、「中立国」・「中小国」に対する「分割線への侵入・併合」・「宣戦布告」を宣言する。
  2. 連合軍プレイヤーが、他のプレイヤーの承認に関係なく、「主要国」に対する「同盟破棄」・「宣戦布告」・「参戦」を宣言する。
　「中立国」・「中小国」に対するへの「分割線への侵入・併合・宣戦布告」に伴い、非フェイズ・プレイヤーが「担当中小国プレイヤーとなり、その外交」について決定する。動員条件、参戦条件、移動条件、降伏条件などに注意すること。

※オリジナル・ルールでの問題点：オリジナル・ルールでは、「攻撃開始＝同盟破棄(宣戦布告)」となっているだけで、同盟破棄(宣戦布告)のゲーム上のタイミングについて明確に論じられていない。ゲーム上のタイミングを明確化する上では、ここしかない。その後の政治ポイントへの影響に注意すること。

4.連合軍同盟締結セグメント：Conclusion of Player's Alliance Segment of Allies Player Turn

  1. 連合軍陣営プレイヤーが、他のプレイヤーの承認を受けて「同盟の締結」を宣告する 。
  2. 連合軍陣営の攻撃による降伏、分割地の併合/占領などを確認する。降伏条件や分割地の併合/占領条件を確認すること。「降伏に伴う陣営を鞍替えしての参戦」もここで確認する(ex.イタリア軍や自由フランス軍)。降伏条件、参戦条件に注意すること。「降伏に伴う陣営を鞍替えしての参戦」となった場合、続く該当陣営プレイヤー・ターンから該当陣営中小国としてプレイに加わる。移動条件に注意すること。
  3. 「連合軍系列中小国の他陣営への降伏」を確認する。「降伏に伴う陣営を鞍替えしての参戦」もここで確認する(ex.ヴィシー・フランス軍)。降伏条件、参戦条件に注意すること。「降伏に伴う陣営を鞍替えしての参戦」となった場合、続く該当陣営プレイヤー・ターンから該当陣営中小国としてプレイに加わる。移動条件に注意すること。
  4. 「政治ポイントの変化による系列中立国の参戦」を確認する。参戦となった場合、次の連合軍陣営プレイヤー・ターンから連合軍中小国としてプレイに加わる。移動条件に注意すること。
  5. 連合軍陣営が「連合軍系中小国亡命政府の確立」を確認する。亡命政府軍隊がある場合、その構成と傘下所属先、移動条件などに注意すること(ex.自由ポーランド政府と自由ポーランド軍は、最初フランスで確立されてフランス軍傘下にあり、フランス降伏後にイギリスに移動してイギリス軍傘下となった)。
  6. 連合軍陣営の攻撃による「連合軍系中小国亡命政府の本国復帰(解放)」確認する。
※オリジナル・ルールでの問題点：オリジナル・ルールでは、中小国の参戦や降伏、プレイヤー同士の同盟締結のゲーム上のタイミングについて明確に論じられていない。ゲーム上のタイミングを明確化する上では、ここしかない。その後の政治ポイントへの影響に注意すること。

D.第３プレイヤーターン：第３極ソビエトプレイヤーターン(上記と同じ) ：3rd PLAYER's TURN：Third Polel Soviet TURN (Third Polel Soviet)(Same as Above)

　「平和状態」にあるソビエト軍は、この第３プレイヤーターンにおいて配備済みの部隊の国内移動あるいは再編成のみを行う。「戦争状態」のソビエト軍プレイヤーのプレイヤーターンは「固定的」ではない。詳細は「ソビエト軍プレーヤーターン決定表：Soviet Player Turn Chart」で確認すること。

1. ソビエト軍同盟破棄(宣戦布告)セグメント：Breaking Player's Alliance (Declaration of War) Segment of Soviet Player Turn

  1. ソビエト軍プレイヤーが、他のプレイヤーの承認に関係なく、「中立国」・「中小国」に対する「分割線への侵入・併合」・「宣戦布告」を宣言する。
  2. ソビエト軍プレイヤーが、他のプレイヤーの承認に関係なく、「主要国」に対する「同盟破棄」・「宣戦布告」・「参戦」を宣言する。
  3. ソ連邦は、「平和状態｣から「戦争状態｣に移行する。
　「中立国」・「中小国」に対するへの「分割線への侵入・併合・宣戦布告」に伴い、非フェイズ・プレイヤーが「担当中小国プレイヤーとなり、その外交」について決定する。動員条件、参戦条件、移動条件、降伏条件などに注意すること。

※オリジナル・ルールでの問題点：オリジナル・ルールでは、「攻撃開始＝同盟破棄(宣戦布告)」となっているだけで、同盟破棄(宣戦布告)のゲーム上のタイミングについて明確に論じられていない。ゲーム上のタイミングを明確化する上では、ここしかない。その後の政治ポイントへの影響に注意すること。

4.ソビエト軍同盟締結セグメント：Conclusion of Player's Alliance Segment of Soviet Player Turn

  1. ソビエト軍陣営プレイヤーが、他のプレイヤーの承認を受けて「同盟の締結」を宣告する 。
  2. ソビエト軍陣営の攻撃による降伏、分割地の併合/全土占領などを確認する。降伏条件や分割地の併合/占領条件を確認すること(ex.フィンランドやルーマニアなど)。「降伏に伴う陣営を鞍替えしての参戦」もここで確認する。降伏条件、参戦条件に注意すること。「降伏に伴う陣営を鞍替えしての参戦」となった場合、続く該当陣営プレイヤー・ターンから該当陣営中小国としてプレイに加わる。移動条件に注意すること。
  3. 「系列中小国の他陣営への降伏」を確認する。「降伏に伴う陣営を鞍替えしての参戦」もここで確認する。降伏条件、参戦条件に注意すること。「降伏に伴う陣営を鞍替えしての参戦」となった場合、続く該当陣営プレイヤー・ターンから該当陣営中小国としてプレイに加わる。移動条件に注意すること。
  4. ソビエト軍陣営の攻撃による全土占領を確認できた国について、ボルシェビイキ化を確認する。
※オリジナル・ルールでの問題点：オリジナル・ルールでは、中小国の参戦や降伏、プレイヤー同士の同盟締結のゲーム上のタイミングについて明確に論じられていない。ゲーム上のタイミングを明確化する上では、ここしかない。その後の政治ポイントへの影響に注意すること。

E.第４プレイヤーターン：第３極ソビエト敵対国プレイヤーターン(上記と同じ) ：4th PLAYER's TURN：Third Polel Soviet Opposite NationsTURN (Same as Above)

　「連合国陣営・ドイツ軍陣営いずれかの陣営として参戦状態にない中立国軍」について、「中立国軍担当プレイヤー」がその「行動」と「外交方針」を決定する。動員条件、参戦条件、移動条件、降伏条件などに注意すること。

※オリジナル・ルールでの問題点：オリジナル・ルールでは、中小国のプレイヤーターンついて状況別に決定づけられていない。ゲーム上のタイミングを明確化する必要がある。

F. 次のターンの準備：HOUSEKEEPING

　「ゲームターン・マーカーを１マス進める」など、次のターンの準備を行う。

ソビエト軍プレイヤーターンの可変性

　「ソ連邦の国際関係状態」には、「平和状態」・「限定戦争状態」・「全面戦争状態」の三状態があり、その「国際関係状況」によってプレイするプレイヤーターンが変化する。
「ソビエト軍プレーヤーターンの可変性」のページへ(後日掲載)

なぜ「行動ステップ：Action Step」という考え方に至ったのか
＝シミュレーション・システムとして、どこまで細分化すべきなのか

　「行動：Action」という考え方は、「移動フェイズ」と「戦闘フェイズ」という「手順の分離」をなくして、『移動あるいは攻撃のどれかを行う』というものだ。

　ここで問題にしたいのは、「ゲーム上の強襲上陸と空挺降下のタイミングに対する考え方」である。どういうことかというと、１ターン７日のゲームで「全てがターン初日の出来事であり、そしてその後の７日間の戦闘を示していると解釈すべき」なのか、ということだ。
　史実としては、日付や時間ははっきりしている。日付と月齢が、このホームページ内で示した新たな「戦略過程表」に組み入れられた。この結果、「その強襲上陸や空挺降下も何もかも実際の日付どおりでなければならないと考えると、ターンの内でのこの時点での出来事であるから、戦闘力も移動力もターン内の日付によって減殺されるべきだ」という考え方に至ることにもなろう。攻撃前の移動開始を考えると、「移動開始は前のターンに始まっており、洋上や空中での移動終了もゲーム上認められるべきだ」という考え方に至るだろう。同時に、「航空機の影響」を考えると混乱してくる。「対艦攻撃、対地上爆撃（対地上機銃掃射、対戦車攻撃、地上拠点爆撃：港湾攻撃など）の航空機の実際の攻撃は、わずか15分程度で解決している」のだ。戦術航空支援マーカーの利用は「ある日の15分間の航空支援」という特定の時間を示すものだ、とも考えたくなってしまう。　シミュレーション・システムとして、「時間の細分化」こそを重んじ過ぎて、このような行動内容としての時間差が、陸・海・空のゲーム上の一体化を妨げている、とする人が多い。

　「空挺降下」は、降下目標地点までの移動時間は数時間程度で終了してしまい、降下の瞬間は長くても１時間もかからない。降下成功後に陸上戦闘が始まる。敵の排除に成功し、空挺補給堡を保つまで数時間を要することになる。「強襲上陸」ともなれば、まず最初に「艦隊の航路設定」があり、それに基づいて「航空索敵計画」が練られる。航路に従って「輸送部隊も含めた海上移動」や「輸送機による航空輸送」が行われる。その間に策敵機が敵を発見し、敵艦隊の対応移動によって海上戦闘が起こり、敵航空機の対応行動によって空中戦が展開される、という過程になる。そして、戦闘場所までの艦隊の移動は数日も要し、着いたところで海戦が起こらなければすぐに上陸作戦もできる。運悪く海上戦闘となった場合、実際の海上戦闘は、艦隊同士であれ、空母同士であれ、海戦は数時間で解決し、敗者となれば上陸作戦そのものが放棄され、すぐに撤収を始めることとなる。運良く上陸に至っても、上陸と同時に陸上戦闘が始まり、敵の排除に成功し、海岸堡を保つまでには数時間を要することになる。これらの戦闘経過は、1ターン7日内のどの時点であろうが変わるはずがない。つまり、このような戦闘経過だけを考えると、ターン内での日付がどうあろうとも戦闘力を減殺すべき理由は見当たらないのだ。「航空支援」にしても、「15分間の蓄積」として捉えるのではなく、「7日間の継続的な航空支援」として捉えるのだ、とするとゲームシステムを考える上で全く違う世界が見えてくる。

　「行動ステップ」という考え方によって変化するのは進行手順だけだ。
　１ターン７日のシミュレーション・システムとしては、「それまでの一連の過程が達成されていれば、それで良し」とすべきであり、上陸開始が「特定の日時」として、ターンの初日に起ころうが、中日に起ころうが、最終日に起ころうが、いつ起ころうが海戦の瞬間や上陸の瞬間は「同等の出来事」であり、「CRTを用いる解決法も同等」であり、１ターン７日ゲームではターン内に含まれてしまうほどの差に過ぎなくなってしまう。つまり、「上陸までの過程と結果を明確にする」ことの方がむしろ重要だろう、ということだ。
　『WEU』での空挺降下の進行手順も、『同一の行動ステップ内』で空挺部隊を適宜降下させて、『同一の行動ステップ内』で他の陸上部隊の移動や空挺部隊との協同攻撃を解決してゆくことになるわけで、実際の流れ何ら変わるものではない。どちらも、最終的に陸上戦闘結果表での戦闘修整として地形や天候の影響を受けるだけである。同様に、『WEU』での強襲上陸の進行手順としては、『行動ステップ』で「海路を跡づけた移動」を行い、「移動中の艦隊への航空攻撃」を解決し、「艦隊戦」を解決する。見事に輸送艦隊が目標に到達できたら、強襲上陸戦闘(あるいは引き続く移動)の解決となるわけで、実際の流れと何ら変わるものではない。

　1プレイヤーターンに2回の自軍行動ステップ設定し、その間に1回の「対応行動ステップ」としたのには意味がある。「対応行動」という考え方は1970年代後半に入ってから登場したものだ。その意味からすれば、相応のアップデートはあってしかるべきだろう。

許容移動力：MAの根拠となるべきもの

　各兵科部隊の最大移動力はどのように算出されているのだろう。「気分」で決められているのだろうか。以下の式を参照されたい。

8時間睡眠＋3.5時間食事＝11.5時間
（食事時間は７０分：準備＋調理＋配膳＋後片付け）
60分移動＋10分休憩を一日６サイクル：午前３サイクル＋午後３サイクル＝移動6時間、休憩1時間＝7時間
小戦闘を含む一日の標準的な戦闘時間＝5.5時間
11.5+7+5.5=24

車輌の場合：
時速12.6㎞＊6時間＊7日＝529.2㎞≒16.042ヘクス≒８MA＊2行動ステップ＝16ヘクス＝528㎞
時速15.7㎞＊6時間＊7日＝659.4㎞≒19.982ヘクス≒10MA＊2行動ステップ＝20ヘクス＝660㎞
　装軌式車両は、一般車両よりも不整地の走行能力は高いにせよ、一般車両よりも通常速度は遅い。WW2当時の戦車や車輌の能力を考えると、各MA自体が「不当に低いとは言えない値である」ことが解る。最大時速というものは、常時使い続けることができるものではない。ここで示した戦車や車輌の通常速度は、艦船や航空機で言うところの「巡航速度」と同様なものとして捉えるべき数値である。各車両の通常速度での航続距離と部隊内全車両への給油時間をも考慮した式を考えることもできるが、「当時の状況における7日間での部隊移動可能距離」を割り出すものとしては「妥当な式」と思われる。

徒歩の場合：
歩幅80㎝で1分間に170歩＝分速136ｍ＝時速8.16㎞
時速8㎞＊6時間＊7日＝336㎞＝10.2ヘクス≒５MA＊2行動ステップ＝10ヘクス＝333㎞
　「徒歩」については、「かなり速い」と見るべきだ。「完全装備」を背負い、時速8㎞で移動するとしたならば「誰しもきつい」と感じるだろう。歩兵の「完全装備での集団徒歩訓練」は、「部隊全体の移動速度を一定に保つ」目的で行われるものである。その速度に付いていけない者が「落伍兵」となり、「後から追いついた兵」となる。「走る」ことも訓練の一つではあるが、当時も現在も「完全装備での集団徒歩移動訓練」は「部隊を維持し、部隊として移動し続けるための重要な訓練」なのだ。
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